
この、日の出の朝を迎えたその日から会う人が沢山出てきた。
地元のインド人来訪者だったり、このセラニティに数年住み続けている
フランス人達だったり、多数の人と知り合いになってきた。
この人はフランス語はもちろん、地元のタミール語も英語も理解できたから
逐一私に説明や翻訳をしてくれる。
友人達のこと、料理や食材、穴場の食堂、セラニティや、南インドのことなど。
女性口調で表してしまったが、単語の羅列とジェスチャー混じりのカタコト
英語だった私に同調してくれ、理解できるように優しく話してくれていたのだ。
この人は長く美しいドレッドヘアのアフリカ系フランス人の男性である。
お陰で一気にここでの生活の厚みが増した。
それからはこのセラニティを拠点とし、仲良くなったフランス人彫刻家、
料理上手なインド人を加え、4人旅をしたり、彼と二人旅で
南インドをしばらく徘徊や冒険をしたりしていた。
この二つの旅は、けして一人じゃ行けない所、行かない所の
波乱万丈の旅であった。
本当に濃密な時が流れていた。
彼とは、何か不思議とも言えるハートの繋がりを感じていたし、彼
もまた、直ぐにまた会える気がしているとよく言っていた。
彼の帰国が迫って遂に別れた時は、子供の頃,穴の開いたポケット
に大事なお菓子を入れて遊び、失くした時の感であった。
別れた場所は空港でも駅でもなく、田舎の砂ぼこり舞う誰も居ない
バス停で、私の気持ちを現わしていた。
この別れから1年後と3年半後の2度、フランスに行く機会があり
再度楽しく充実した時間を過ごし、その後はクリスマスカード等を送りあっていた。
それからは住所も変わり、25~6年音信不通となっていた。
10日前同じ発送元から6通のメールが。
4通は空メールで後の2通にあの神を讃えるマントラが!!!
え~!嘘でしょ~!
直ぐ返事を書いた。
半日後に返信が、メッセンジャーのIDネームが記されていた。
私はメッセンジャーを使ったことはなく戸惑ってしまったが
慌ててFacebookで検索し、お互いの紐付けを待っていた。
この時まで知らなかったのだが、Lineは日本と東南アジアの3か国
ぐらいで世界の主流は”Whatsapp"と”Messenger"らしい。
翌朝起きてスマホを見るとメッセンジャーにビデオ通話の不在着信が3回。
フランスとの時差は8時間。
ドキドキしながら向こうの朝を待ってかけてみた。
スマホ画面に飛び込んで来たのは26年ぶりの彼の顔!
お互い歳を取ったが一気に時間がワープ。
彼はバカンスでマダガスカルに居た。
私のアドレス発見までのストーリーを聞きたかった。
<続く>
画像は当時の旅の終わりに彫ったココナッツカービング。
ココナッツの大きさは5.5cm。
この小さなココナッツを手に入れるのが難しい。
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- 2022/12/20(火) 12:58:41|
- 工芸
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| コメント:1
うわわ! 凄いですね‼︎
ロマンスよりこちらの友情物の方が感動します。お互い元気で何十年ぶりかで連絡取り合えるって、実はすごく稀有なことですよね。
我が家も可香谷さんと旧交を温められてよかったです。
- 2022/12/22(木) 23:18:51 |
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